言語習得法 ①

参考とする実践者①

 

主に学習の参考とする2人がいる。言語学者で起業家のロンズデール氏と、『古代への情熱』を書きトロイア遺跡を発掘したシュリーマンである。この記事ではシュリーマンについて書く。

 

 

非常に参考になったブログ

 

 

「英語は難しくない!大人のための最短英語学習法」というブログである。このブログのおかげで、私はシュリーマンに関するほかの著作があることを知った。感謝申し上げたい。また、この記事は引用や論理展開がきちんとしているので、ブログ主の方は大学や大学院で知的トレーニングをしっかり受けられた方であると思う。そのためほかの記事もためになります。

このブログを参考にしつつ、シュリーマンの本を読んで勉強法をまとめた。以下参考にしたブログへのリンク。

 

シュリーマンはどうして聞く・話す・読む・書くを短期間で習得できたのか? - 英語は難しくない!大人のための最短英語学習法

 

 

 

 

 

シュリーマンの勉強法(抜粋+軽い編集 版)

①まず母国語であるドイツ語を正しくしゃべり、正しく書くということを学んだ。読みやすい字を書くために20時間の授業を受けてそれをものにした。

②自分の選んだ多くの単語を含む長い単語表と、これらの単語を使った一連の文章を、一枚の紙の上に教師に書いてもらい、1字1字、文字をまねながら全体を書き写し、それを暗記する。

③ほかの単語を含む二枚目の表を作成してもらい、1枚目の表を手本にして、新しい単語を作ったり文章を構成したり、ほかの文章と組み合わすことを試み、それを教師に訂正してもらう。

④たくさんの分量を音読すること。音読はたとえ、その言語が分からないものでも良いから、誰かに聞かせる。

⑤短文を訳してみること。

⑥毎日授業を欠かさないこと。

⑦興味を覚えた問題について、常に作文を書き、それを先生の指導によって訂正し、暗記すること。短い物語でもよい。前日直されたものを次の時間に暗唱して見せる。

⑧毎週日曜日に2回も英国教会に通い、説教に耳を傾けながら、一語一語を小声で繰り返す。

⑨隙間時間はたとえ数分でも、本を一冊持っていて、なにがしでもかならず暗記する。

⑩彼は次第に暗記力を強め、三か月後には、あらかじめ三回念入りに通読しておけば印刷された英語の散文30ページ位なら1語1語まちがいなく教師の前で暗唱してみせることができた。このような方法で彼は本をまるまる2冊暗記した。

⑪過度の緊張のために夜もろくに眠れず、目がさえている時は、その晩読んだものをもう一度頭の中でくりかえす。

 

上記の方法は『トロイア発掘者の生涯/エーミール・ルートヴィヒ著 秋山英夫訳』から勉強法に関する部分を抜き出し独自に再構成したものである。さらに以下に上記のものを私なりの言葉に置き換えたものを書き記したいと思う。

 

 

 

 

シュリーマン勉強法(私家版)

 

準備段階・常時・学習前半・学習中盤・学習後半の5つに分けた。

・準備段階

⓪母国語の正しい話し方・分の書き方を学ぶ。きれいな文字を書けるようにする。

 

・常時

①毎日やる。

②大きな声で、たくさん、誰かに向けて音読する。

③隙間時間も暗記に活用。

④興味を覚えた問題について、常に作文を書き、それを先生の指導によって訂正し、暗 記すること。短い物語でもよい。前日直されたものを次の時間に暗唱して見せる。

⑤その日に学んだことを、夜寝る前に頭の中で繰り返す。

 

・学習前半

⑥ネイティブの発音をまねる

⑦基本単語と自分の覚えたい単語の表と、それらを使ってネイティブが作った一連の文    章を、文字をまねながら書き写し暗記する。

⑧短い文を訳してみる。

 

・学習中盤

⑨ほかの単語を含む二枚目の表を作成してもらい、1枚目の表を手本にして、新しい単語を作ったり文章を構成したり、ほかの文章と組み合わすことを試みる。それを教師に訂正してもらう。

・学習後半

⑩あるまとまった分量の文を教師の前で暗唱する。その結果、本をまるまる2冊暗記する。

 

 

 

 

その他の言語習得に関係のありそうなシュリーマンのエピソード

 

トロイア発掘者の生涯/エーミール・ルートヴィヒ著 秋山英夫訳』より

*以下の抜出は引用・言い換え・要約・言葉の順序の変更などが行われています。

 

・整理・収集癖がすさまじく、書籍や戸籍や電報や手紙など全生涯にわたる書類が2万点以上残されていた。20歳の時から亡くなった69歳の時まで、ほとんど休みなしに書き続けた、日記やノートの類。商売上の帳簿類、私信、証書の類、旅券や表彰状、彼の語学の勉強のあとを示すおびただしいノート、ロシア語やアラビア語の文字を練習した紙片がそろっている。また、あらゆる方面の新聞の切り抜き、年表類、自分で作った10ヶ国語以上のそれぞれの辞書がある。また手紙は全部自分の手で書き、そして複写機を使ってコピーをとっている。p8

・彼はおじのもとで、あるすぐれた言語学者の手引きで、またたく間にラテン語を習得し、11歳の時のクリスマスには「トロイア戦争のできごとやオッデュッセウスやアガメムノンの冒険について、まがりなりにもラテン語で綴った作文」を父に贈ることができたp24

複式簿記を、朝早くから夜遅くまで勉強し、自分で9冊のノートの罫を引きながらも、ほかの連中が一年から一年半かかる勉強を、9月の10日には仕上げてしまい、仲間たちをあきれさせた。p26

・すべての手紙や著書に見られる、自分のやったことに好んでスポットライトをあて、識者の喝さいを強調し、最上級の言葉をやたら使う。p27

・オランダのアムステルダムでは、ロシア語を勉強している際の甲高い朗読のせいで、2回も住居を変えねばならなかった。p41~42

・2人いる弟の年上の方、つまり三人兄弟の二番目のルイは、シュリーマンからフランス語・英語・スペイン語を教わった。p57~58

・彼独自の言語習得の方法と噓みたいな記憶力のおかげで、彼はいつでもわずかの日数のうちに、新しい国語の語彙をものにし、6週間後には、自分の思想を口頭でも文書でも、表現できるようになった。そのさい彼は筆記体などのために時間を失うことなく、はじめから印刷体の文字を使っている。自分の勉強の成果を、いちはやく、未熟な青いままでも楽しむことの方を好んだ。p75

・33歳から35歳のあいだに、古代ギリシア語と現代ギリシア語を並行して学習し、繰り返し練習するために、山のようにノートを書いた。新しい単語が出てくると、彼はフランス語やその他の言葉で見出しをつけている。彼の日記はほとんど書き直しがなく、恐ろしいくらい整然としているのに、この練習帳では小学生にかえったかのように、抹殺したり、インクのしみをつけたりしている。しかもその間に、先生の筆跡で訂正の筆がはいっている。p76

・旅日記では、いわば倦むことを知らない記録係特有の杓子定規で、天候のこと、緯度、自分の健康状態、植物や動物、商業や政治、社会問題や人種問題といったことを書き連ねている。p77

プーシキンレールモントフの詩すべての詩を暗記していた。p100

・旅先でトルコ語を覚えた。2週間で流暢に読み書きができ、単語は少なくとも6000は知っていた。p126

・二人目の妻であるソフィアは三か月でドイツ語を仕上げた。p131

シュリーマンミュケナイについての著述を、8週間で英語の原文で書き上げ、それをすぐに母国語であるドイツ語に翻訳した。p169

コーランの一節をアラビア語で暗唱。p245